チェンバロ事始

イタリアに歴史的オルガンの試奏、見学に行った際に、ミラノのチェンバロメーカーの所に立ち寄った。

ミラノの少し郊外にあり、国際空港への途中という事もあって、帰国便に乗る前に寄った。

大変のどかな緑あふれる中に、その工房はある。

各部分を各専門家が手作りをする流れのチェンバロ製作は大変理にかなっている。

枠部分、弦を張る部分、心臓部、鍵盤、塗装、装飾・・・など楽器は多岐の工程を経て完成されるもので、部屋ごとに工程が異なる興味深い工房を見学させていただいた。

それが、BIZZI氏が展開している BIZZI チェンバロ である。



日本BIZZIのホームページはここhttp://coastaltrading.biz/index.html

イタリアン、フレミッシュ、フレンチ、ジャーマン、スピネットなど各種タイプもそろっている。

興味深いのは、多少安価な、通奏低音用(アンサンブル用)の一段チェンバロとそのさらに簡素化されたステゥディオ・チェンバロと呼ばれるタイプ。多少安価とはいっても、100万以上。ちなみに2段鍵盤は300万ほどはする。

最近、チェンバロも多少、市民権を得て、趣味で、やる方も増えてきたのに伴い、音を出す部分は本物・・・どこかは簡素化されたものがあると良いのに・・・と感じていた。

以前TOKAIのスピネットがあり、30万~40万で手に入り、私が始めた頃は、鈴木正明氏、副島氏も練習したその楽器が私の元に回ってきたものだけど、その頃は本当に貴重なピアノでは無い機構を持った楽器であったことに感激して練習に使用した。が、今ではかなりのところで本物に出会えるし、練習が出来るようになったこともあり、いつしか、それは姿を消し、本物志向が勝って高価な本物の楽器を手に入れるという流れになっていたように思う。それも、かなり専門に勉強する人を中心に。

でも、チェンバロ講座等(興味ある方や、ピアノ既習者で触って見たいの為の)が多く開かれ、楽器への興味、理解も広がってきた様に感じる。

そこに、このBIZZI氏がフランスで流行ってきた子供がチェンバロを習いだすという風潮を受けて、さらに、安価なチェンバロを(鍵盤が多少少ないらしい)開発した事を聞いた。

値段は未定らしいけれど、これには興味がある。

100万以下70万以上ほどの楽器ならば、考えたいという生徒さんが数人いるので、今度、是非、詳しい話を聞きたいものである。

はっきりしたら、ここでも、報告しますね。


コメント

チェンバロ事始 — 7件のコメント

  1. 興味深く読ませていただきました。
    楽器はどうしても高いですよね。
    専門的にやっていたら、とりあえず100万程度のを買おうかという話にはなるでしょうけど、趣味だったらなかなかそうはいかないし、もっと専門的になってくると上限がないですしね。

  2. チェンバロの製造工程を興味深く読ませていただきました。
    素人の勝手な推測だったのですが、楽器というものは、職人さんが一人で全部作るものだと思っていました。
    工業製品の製造過程のようではありませんかね。
    おそらく、各部分は経験のある職人さんがされているのでしょうから、一人でも欠けてしまったら、その楽器はできないということですね。

  3. はじめまして、てふてふ と申します。
    今まさに、mixi のチェンバロのトピックスでこの話題が出ています。
    自分は長年の夢の実現として、Bizzi 社のスピネットを昨年に発注しました。
    自分は小さい頃にピアノを習っていましたので、特に違和感とかはありませんでしたが、チェンバロそのものはやはり身近な存在で無い事には変わりなく、購入にあたり色々なところに出向いて試弾させてもらって、最終的に Bizzi 社のものに決めた経緯があります。
    そして、自分の様に積極的に動いても、それ程の個体には接する機会は早々ありませんでしたし、価格的にも非常に高価でもありました。
    以前、ギタラル社では 45万程度の楽器を作っていたのですが、諸経費の高騰などで生産が持続出来ない状態に追い込まれているようです。
    そんな中で、Bizzi 社が普及に向けて動き始めた事は、将来に向けて非常に楽しみに思っています。
    そして、もっと身近にアンサンブルなどを出来る環境になれば良いですね。
    この記事を読んで、こんな事が頭を巡りました。
    では。

  4. めぎさん
    楽器を手に入れることは、なかなか悩みですよね。
    チェンバロはヴァイオリンに比べるとまだ安いです。ヴァイオリンは弓も高価だし、そこに張ってある馬の毛も、数ヶ月で変えます。さらに、弦も高い・・・。大変です。

  5. YAPさん
    楽器製作の全工程を1人でやる方もいます。逆にいえば、そういう方のほうが多いです。ただ、どこかの部分だけ、他の方との共同制作になったり、外注したりという場合もあります。ですので、BIZZI社のように弦から自分で作り、工程別に専門家が、一つの工房で、別の部屋で作業しているのは珍しいコトですね。ピアノメーカーが作っているところは別ですが。
    今度はそれについてご紹介してみます。

  6. てふてふさん
    こんにちは。どうも、ありがとうございます。
    野村氏に誘われて、mixiもデビュー??って感じになってますが・・・。
    鎖国以降の鍵盤楽器の主流はピアノでした。
    その前の歴史が忘れていた時期に入った西洋音楽を日本は勤勉に勉強したので、鍵盤音楽はピアノ音楽が始まった時が始まりのように教えられた気がします。  最近の音楽の教科書にようやくチェンバロが出てきましたが、それも、教科書の中の話・・もっと啓蒙しなければと思います。そのために本物で安価の楽器が必要と思います。
    本物の教材、導入書も必要ですね。
    てふてふさんの所もお邪魔してみます!

  7. mixi の自分の日記に来てくださり、ありがとうございました。
    チェンバロに関して、自分の様にアマチュアの場合は、事に間口が狭いですね。
    この辺りをどうにかする為にも、Bizzi 社の今度の動向は注目ですね。
    また、日本での総代理店であるコースタル・トレーディング社の野村社長もよくぞ踏ん切られた事だと思います。
    ゆくゆくは、自分のようなアマチュアでも「チェンバロ買いました」という事が当たり前になって欲しいと願っています。
    自分の場合は、ライフワークとしての J.S.Bach という存在があって、また楽器を演奏する立場に返り咲きたいという事で、およそ20年ぶりに練習を再開しました。(現在、インヴェンションが当面の目標)
    自分よりも上の世代の「団塊の世代」と言われている人びとが、いわゆる「老後」という自由に使える時間が増えると思いますが、もっと音楽に親しんで欲しいとも考えています。そのあたりの方々にも朗報と言えるのではないでしょうか。

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